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健康講話レポート-vol.19

200411.16
■基本理念
■当院実施検査
2004年11月の講演会
『腎不全の島、沖縄ーなぜ沖縄には腎不全が多いのか』を聴講して
講師:琉球大学附属病院 血液浄化療法部
井関邦敏先生
■栄養相談&健康講話
■診療時間&地図
■院長略歴 11月の井関邦敏先生の講演会(琉球大学付属病院 血液浄化療法部)
「腎不全の島、沖縄―なぜ沖縄には腎不全が多いのか」の要約をご紹介致します。
今回ははじめての試みとして講演会をビデオで撮影しました。
テープをご覧になりたい方は当院までご連絡下さい。
この要約を作成するにあたり、ご協力頂きました新垣様にこの場を借りてお礼申し上げます。
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プロジェクターを使い、図解しながら

わかりやすくお話して頂きました。
講演レポート
1971年からの沖縄において維持透析を受けた患者さんのデータを集計した
沖縄透析研究Okinawa Dialysis Study(OKIDS)を井関先生が立ち上げました。
少なくとも1ヶ月以上生存した慢性透析患者、5246人(1971−2000年度)を
登録したそうです。この研究から多くの疫学的に価値の高い研究成果が得られ、
海外の一流雑誌に掲載され、世界的にも注目されています。

全国には現在37年間透析して、現在も生存している患者さんもいます。
※世界的には1964年にはじめて透析療法が開始されています。

原因別の透析導入数(1999-2000年)を解析すると慢性腎炎と糖尿病
(両方ともそれぞれ40%)の二大疾患が、原因のほとんどを占めています。

透析導入患者数(2001年県別)――沖縄、徳島、大分、宮崎、鹿児島、
兵庫など多い(約500名にひとり)。沖縄は全国7位の患者発生率の高い地域です。
全国では百万単位で1759.8人ですから、これらの地域がいかに透析になる人が多いかわかります。

男女別で透析導入患者数を比較してみると、男性が多い傾向があります。
―原因はよく解明されていませんがストレスが女性よりも高い?という説や
女性ほどあまりまじめに治療を受けていないのではという説もあります。

現在の透析を開始する年齢は、平均65歳ですが男性は女性よりも早い傾向があります。

透析導入になる人の年齢、透析の患者さんが亡くなる年齢のいずれも現在は過去と
比べると高齢化しています。一般の平均寿命が延びたこと、医療技術の進歩が背景に
あると考えられます。

透析を受けている人と受けていない人の生存率を比較すると透析を受けている人は
10-15年ぐらい寿命は短いとされています。

腎臓の働き――若年者と高齢者の比較すると高齢者は年齢とともに腎機能が低下する
分だけ水を飲むことのできる量が少なくなってくる。若い人に比べて年齢が高くなる
とともに水分に対する許容範囲が狭くなっているといえます。

では腎臓が悪くなるとどのような症状があるのでしょうか?腎不全の自覚症状―
むくみ、息切れ(貧血)、蛋白尿(尿の泡が消えにくい)、夜間尿、不眠、食思不振、
嘔気(やせてくる)、倦怠感、気力の低下、皮膚のかゆみ

腎不全の血液検査(高窒素血症)、貧血、低カルシウム血症、高リン血症、
胸のレントゲン写真の変化(心拡大、血管の石灰化、骨折(肋骨))、他

腎不全のエコー検査所見――@縮小、A大きい(両方)、B片方しかない(or一方が小さい)、
C腎臓に多数ののう胞がある、などあります。原因により変化はさまざまです。

体重測定――毎日同時刻に測定し増減をみる。徐々に腎機能が低下する場合はじめは
変化はわかりにくいのですが、最後には尿量が低下し体重は増加してきます。

尿蛋白が多くて慢性腎炎が疑われるとき、腎機能低下の原因がはっきりしないときは
背中から針を刺して腎臓のごく一部をとってきて、顕微鏡でみる検査(腎生検)が行われます。
沖縄県にも腎臓内科の専門の先生が以前からこの検査に取り組んでいますが、
腎不全で透析に至った患者さんの中でもこの検査を受ける機会をすでに逸してから病院に
はじめて来院することも多く、尿蛋白がでているかどうかなどの一般の検診の重要性を
啓発している必要があります。

腎臓に悪いもの――過食(蛋白質)、肥満、運動不足、喫煙、高脂血症、高血糖、
高尿酸血症、貧血、高血圧、薬物、抗生物質、非ステロイド系抗炎症薬、漢方薬などが考えらます。

腎臓に良いもの――残念ながら、“これ”といったものはありません。但し、
しいて挙げるならば 適度な運動、睡眠、ストレスの緩和、適度な蛋白質の摂取
(理想体重の1.0-1.2g/day)

検尿の意義――やはり、大切なのは定期的に検診を受けて腎臓病を早期に発見することです。
先ほども述べましたように@手遅れの腎不全(Late referral) をふせぐこと、
A腎不全の進行予想は正確できない(Lead−time bias)からこそ、欠かさずに検診を受けること
が大切といえます。つまり、自分の健康は自分で守るという考え方が大切です。このあたりは、
健康の自己管理、自己責任に対する考え方が日本と米国の間で大きく違う
(日本は皆保険制度――米国は日本のような検診の制度はありません)ことからわかります。

そのような米国でも、米国健康の指標5(Health Indicators 5)―@血糖 Aコレステロール
B PSA(前立腺ガン特異抗原)、C TSH (甲状腺刺激ホルモン)D ヘモグロビン(貧血)を
最低でもチェックするようにすすめられています。

沖縄県総合保健協会(Okinawa General Health Maintenance Association)OGHMA-1983年より
コンピュータデータあり、検尿の異常率、男女別データ(例えば女性は80歳以上は血尿が多い、
15%――8人にひとりなど)などの解析が可能です。
蛋白尿の程度と末期腎不全(のちに透析が必要な状態になった人)の関係を調べると蛋白尿の
程度が強いほど、将来的に腎不全になる確率は高くなります。

検尿結果と腎不全発症率――血尿のみでは腎臓が悪くなる確立はさほど高くありませんが、
蛋白尿と血尿と一緒にみられた場合は将来腎不全になる確率が高くなります。例えば、
尿潜血のみ陽性の人たちに腎生検を行うとIgA腎症という腎炎が隠れている可能性は20%で
あるのに対して血尿および蛋白尿がみられた場合に腎生検を行うとIgA腎症であった確率は46%です。

慢性腎疾患の定義-−GFR Cockcroft-Gaultの計算式というものがあり、
血清のクレアチニンのデータと年齢、体重がわかれば現在の腎機能が推測できます。
 

(140 − 年齢) × 体重(K)
Ccr(ml/分) =
――――――――――――――――――――――――――
72 × 血清クレアチニン(mg/dl) (女性は×0.85)
血清クレアチニン値の分布――男女別でみると女性は男性より分布値が低いのがわかります。

住民検診の慢性腎疾患――1000人にひとり又はふたりと少ないのですが、高血圧がある場合の
腎不全発症率は110-150と高くなる。

末期腎不全(ESRD)―― 血清クレアチニン2mg/dlの人は約5年間で透析になるとされています
(現在は降圧剤などの治療方法の改善があり、こんなに早くはない)。

体格(BMI)の分布でみると男性はこれが22前後を越えると腎臓悪くなる確率が高くなるのに
対して女性ではさほど関係ない。

腎機能とヘマトクリット――腎臓悪いと貧血になりますが、逆に血液が濃すぎても良くない、
ドロドロになるといわれています。

腎不全(透析を受けている)になっている人の人数は――2003年 新規33966人、
年度末患者数237710人

2002年 糖尿病740万人(人口1.27億人中5.8%)が糖尿病とまでいわれています。
糖尿病の患者さんが増えると、それだけ腎機能を悪くする人達が増加することが予想されます。

米国との比較(糖尿病)――透析導入率7%

透析患者の体格BMI(米国との比較)――21(日本)、27(米国)

The Shape of Things to Come(肥満の到来)、これも腎臓を悪化させるひとつの要因とされています。

沖縄では肥満が増えている――1983年と1993年の比較(高血圧と肥満)

疾患の一般的説明因子――遺伝Genetic(30%)、行動Behavioral(40%)、
保健Health Care(10%)、社会Social(15%)、環境Environmental(5%)とされていますから、
“行動”がいかに大きくかかわるかわかります。

早く尿毒症になりやすい患者の性格――ノーと言えない人、食塩取る人、台所仕事がきらいな人、
相手を必要とする趣味を持つ人(麻雀、スポーツ)他

腎不全に陥る契機――過労、かぜ、旅行、妊娠、民間療法、スポーツ、ステロイド他

腎不全になる危険性の高い人たちの特徴――医者の話を聞かない、他
で、どうする?――@ 病気について勉強する A 医者に相談する、生活習慣を改める。

以上ですが、何かご質問がありましたら、遠慮なくメールででもご連絡いただければ幸いです。

会場には、たくさんのお客さまが
つめかけてくださいました。
井関先生ありがとうございました。
次回の講演会は 
年明けの1月の講演会は院長が行います。日時は定例になりました第三火曜日の1/18(火)、
午後7時より行います。タイトルは「今、求められる“開業医”とは?」です。今年で4年目を
迎えましたが、これまで地域の皆様に支えられた田名内科クリニックの変遷を振り返り、
そしてこれから当院が目指す方向性に関してご紹介したいと思います。
年に1回のみの出場ですので、はりきって準備中です。乞うご期待ください。
2005年も田名内科クリニックをよろしくお願い致します!!
Tana Medical Clinic
〒902-0062 沖縄県那覇市松川3-18-30
Tel.098-885-5000 Fax.098-885-5007
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